マイナス金利でカードローンはどう変わった?現状と今後の展望
お金がちょっと足りない時に役に立つカードローンですが、お金に関わることなので、世の中の動きでカードローンに影響があったらどうしよう、と心配になってしまう時があります。
大きな金融政策などは一見私達の生活に関係がないような気にもなってしまうのですが、やはり全く関係がないのかと言うと、そうでも無かったりします。
少し前になってしまうのですが、マイナス金利が話題になり、預貯金にも影響があるのではないかという心配の声や、ローンの金利も下がるのではないかと言う期待の声もありました。
マイナス金利の場合は、カードローンへの影響はなかったのでしょうか。今後も大丈夫なのでしょうか。
金利がマイナスってどういうこと?改めてマイナス金利を知ってみる
職業にもよるでしょうが、ニュースや新聞で経済の話や金融に関する話題が出てきても関心がある人とない人がいます。
しかし、関心がない人でもお金は使います。お金が足りない時にカードローンを利用するのもまた、金融問題に関心があるなしは関係ありません。自分とは無関係と思っていても、そうとは限りません。
2016年にマイナス金利政策が行われました。
この時は、銀行にお金を預けると利息が取られる、カードローンの金利が下がる、などの話もまことしやかに出ました。
そんな世間の噂だけでいろいろ心配しているが、実際には何もわからず・・・という人も多くいました。
マイナス金利は2016年に行われた経済回復のための政策の一つ!
そもそもマイナス金利とはどんなものなのでしょうか。
2016年2月16日から導入された、民間の金融機関が預けている日銀の当座預金の一部(いろいろお金の内容で別れているため)にかかる金利0.1%の利息をマイナス(-0.1%)にするという政策です。
通常の感覚で言えば、お金を預けると利息を受け取ることができるのですが、これが逆になり、お金を預けていると利息を支払わなければいけなくなります。
ざっとした簡単な説明だけだと、「私達も銀行にお金を預けていると利息を支払わなければいけないの。」と心配になってしまいます。その声は、確かにありました。
しかし、よくよく説明を見ると、日銀と民間の銀行との関係においての政策だということがわかると思います。
日銀とは?当座預金とは?知っているようでわかってない?基本を確認
そもそも日銀と聞いて、ピンとこない人もいるかもしれません。
日本銀行の略。日本の金融機関の中心的役割から「中央銀行」とも呼ばれます。日本銀行は、日本の物価の安定や経済の成長の為に金利の調整を行っています。(毎月、金利の調整をどうするかの会合を行っているそうです。)
日本銀行の役割はこれらになります。
- 銀行の銀行
(各銀行等の金融機関からの預金の預りなど) - 政府の銀行
(税金の出し入れなど) - 発券の銀行
(お金の発行など)
これらの役割からわかると思いますが、個人で日銀を利用することはできません。だからこそ、ピンとこない人もいるのかもしれません。
また、当座預金もその口座を使わない人にはわからないかもしれません。一般的に私達は普通預金を使うことが多いはずです。
当座預金と普通預金との違い
普通預金 | 一般的に広く使われている形式で、お金の出し入れや引き落としが自由にできるもの。 利息もつき、満期がありません。 銀行が破綻した場合、現在は1,000万円までしか保護されません。(ペイオフ制度) |
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当座預金 | 企業や個人事業主が業務用として使うことが多い口座の形式になります。 お金を引き出すのには手形や小切手が必要になります。 また、無利息です。 ちなみに銀行が破綻しても全額保護されます。 |
ただ、先に日銀のマイナス金利について、銀行への当座預金をマイナス金利にすると説明したのですが、日銀は2008年11月から当座預金にも金利をつけているからだそうです。
ちなみに貯金と預金の違いですが、これは単なる預ける金融機関の違いで、それぞれが対象となる法律でも貯金、預金と記載が分けられているそうです。ですが、普段使う分にはあまり厳密に考えなくても問題はないと思います。
- 貯金・・・ゆうちょ銀行、農協や漁協など
- 預金・・・銀行、信金、労金など
以前も経済政策はいろいろ実施されて今はマイナス金利が行われている
2016年にマイナス金利政策が行われたと説明しましたが、当然それ以前にも経済回復やデフレ脱却のために、いろいろと政策は行われてきました。
- ゼロ金利政策
1998年バブル崩壊(日本経済の低迷)の時に日銀が取った政策。銀行が日銀から資金調達する際の金利を当時の日銀総裁が「金利はゼロでもいい」と言ったところからゼロ金利政策と呼ばれた。
これは、バブル崩壊時期で多少古いと言えるものですが、それ以降にも当然政策は行われています。
- 量的緩和政策
ゼロ金利政策が上手くいかなかった為、日銀が民間金融機関から預っている当座預金残高を調整することによって中小企業への融資を促し経済成長を図ろうとしたもの。(ほとんど利息のつかなくなった当座預金に残高をおくよりお金を貸した方が利益になるよう、民間金融機関が市場に資金を供給する仕組みづくりをしたもの)
過去にいろいろな政策が行われてきましたが、日本経済の長期デフレ経済で景気低迷の脱却を目的として3つの「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」政策がアベノミクスとして行われました。
その流れでマイナス金利が行われ、効果のほどは全くないわけではないのですが、期待に添えるだけの効果があったわけではなく、政策の見直しの意見も出ています。
ただ、よくわからない者からすれば、言葉だけでマイナス金利の意味を受け取ればローンにおいても借りる側が利息を受け取り、お金を貸す側が利息を払うと言う逆転状態になります。実際には、それはあり得ません。
実際にはマイナス金利はカードローンに影響はなかったのか?
マイナス金利からの銀行の儲け減少による金利の引き上げの懸念もあったのですが、実際には、このような影響がありました。
メリット | デメリット |
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企業への融資が積極的になる (企業は設備投資に積極的になる) 住宅ローンの金利引き下げ |
預金金利の引き下げ 金融商品の募集停止 (生命保険料の値上げ) など |
実際に効果としては、住宅ローンの金利の引き下げによる住宅ローンの着工件数の増加などがありました。また、借り換え希望も多かったようです。
逆に、国債を中心とした金融商品の販売停止などや預金利率の引き下げ、手数料無料の廃止、また個人向けのサービスの改悪などがあります。当然、企業や個人資産の運用にも影響が出ています。
直接の関係はなくとも肝心のカードローンへの影響はどうだったのか?
マイナス金利は、日銀と銀行との間のやりとりに関する政策ですが、消費者への影響としては、先に住宅ローンの金利が多少なりとも下がったとありました。
では、カードローンへの影響はどうだったのでしょうか。
実は、カードローンへの直接の影響はなし、と言えます。
また、限度額の引き上げの期待の声もあったのですが、こちらも期待通りにはいかなかったようです。
逆に、現状はまだなのですが、今後、マイナス金利の国民への影響を懸念している声は多くあります。
その点から見て、カードローンに関してはどうなのかと言う点ですが、やはりめぐりめぐって金利の上昇の心配がないわけではありません。とはいえ、あくまでまだ心配の声があるだけです。
直性関係がないから?なぜカードローンの金利は下がらない
もともと銀行は、各商品の経費や機械などの維持費、預金者へ払う利息も必要など、コストが掛ることを考えなくてはいけません。必要な経費等を確保するにはカードローンの金利までは、大きく下げることができないのです。
消費者金融に関しては、住宅ローンとは関係なくカードローンの金利を設定できるのですが、そもそも利息による収益が減れば会社の運営がままならなくなるので、簡単に金利を下げることはできません。
もちろん、気付かないうちに多少なりとも下がったと言うところもあると思います。ただ、金利の引き下げは大きくはできないでしょうし、カードローンの金利には幅があります。ざっと見た限りでは上限金利の方が下がったと言うところはないように思います。
【関連記事】
マイナス金利よりも影響は大きい?銀行カードローンの貸し過ぎ問題
マイナス金利とは少し話がそれてしまいますが、銀行カードローンの貸し過ぎの問題が最近は大きく取り上げられることがあります。
カードローンにおける融資額が消費者金融と銀行では、今まで消費者金融が多かったのですが、2015年には逆転し、今は銀行の方が消費者金融よりも融資額が多くなっています。それだけ、銀行カードローンの利用が多いのです。
その為、一昔ほどではないにしろ、社会的にも話題になったカードローンの多重債務者の問題が再燃したと言える状況になってきています。
また、故意にではないにせよ反社会勢力への融資が行われてしまった事例も出てしまったことにより、銀行のカードローンの審査において警察庁へのデータベース照会も行われることになりました。
審査のひと手間と自主規制で銀行カードローンの即日融資は不可能に!
これらの問題により、審査に時間が掛ることと、銀行それぞれによる自主規制により、このように銀行のカードローンも変わることになりました。
- 即日融資の自粛
- 貸付額の規制
(銀行によっては年収の1/3までの融資) - 収入証明書類提出の基準の厳格化 など
あくまで自主規制であり、それぞれの銀行の判断もあるので、一概に銀行カードローンの審査が厳しくなったというわけではありません。
また、消費者金融は貸金業法により規制があるのは以前と変わらないので、今までと大きく変わることはありません。
銀行のカードローンのこのような動きに、遠因としてマイナス金利が全く関係ないのかどうかはわからないところですが、金利云々よりもこちらの方が身近な問題として、まずは意識しないといけないかもしれません。
他人事にはしない!遠いと思った経済政策も私達に関係することがある
金融政策が関わる大きなことは、ニュースとして見るとあまり私達の身近なこととは関係ないと思ってしまう人は多いかもしれません。また、マイナス金利のように、人によっては直接的に関係するとは限りません。(遠因としてあるかもしれませんが、はっきりと関係機関が発表されていないとわからないとも言えます。)
しかし、どのような流れであれ、お金のことなので政府の政策や金融情勢によっては、多少なりとも影響が出て、金利なり融資額なり変わることがないとはいえません。
特に市場の動きとして銀行のカードローン問題のように身近に起こることもあります。
いずれにしても、人ごとと思っていると後で予想以上に損をしたり痛い目に会う可能性もあるので、一見直接関係ないようなことでも情報としては知っておくことが、自身の財布を守ることに繋がっていくことになるでしょう。