カードローンの限度額は総量規制が関係する!借入先の対象範囲は?
カードローンを利用しようと思ったら、誰でもカードローン商品の最高融資額まで借りられるわけではありませんね。
カードローンでは、年収によって契約できる金額が決められています。けれど年収によっていくらまで契約できるかは、各カードローン会社で決められています。
消費者金融であれば貸金業法の中の総量規制によって上限額が定められていますが、銀行カードローンでは各銀行の采配となります。
しかし最近は銀行カードローンでも総量規制に準ずる動きが出始めていますので、総量規制以上を借りることは難しくなってきていますよ。
まずは基本情報!貸金業法の総量規制とは
消費者金融や信販会社等の貸金業者が営業する上で、守らなければならない法律は貸金業法になります。
貸金業法の主な内容は以下になっています。
- 総量規制
- 上限金利
- 規制強化
- 行為規則の強化
- 特例措置の廃止
2007年(平成19)に上記のような様々な改正が行われましたが、ここでは総量規制について説明していきます。
総量規制
総量規制とは、貸金業者からお金を借りる時の上限金額を定めたものになります。借入できる金額は年収の3分の1までとなっています。
また借り入れ総額が100万円となる為、他社で50万円借りている場合は新たに借りられる金額は50万円となります。
- 借入上限額は商品の上限額に関わらず年収の1/3まで
- 他社の借入れとあわせて年収の1/3まで
他社の借入状況は申込書で自己申告する所もありますが、審査では信用情報機関の情報を照会する必要があります。
信用情報機関を照会すると他社の契約額が分かるため、あといくらまで借りることができるのかが分かるようになっていますよ。
【関連記事】
他社借入していても新たなカードローン申し込みは可能と言うが本当?
消費者金融は総量規制の対象!借入額は年収の1/3まで
先ほど紹介した通り、消費者金融は貸金業法を基に営業しています。そのため、消費者金融は貸金業法の中で定められている総量規制の対象となります。
例えカードローン商品の最大融資額が800万円であっても、年収が2,400万円以上なければ最大融資額の800万円は借りられないのです。
信販会社やクレジット会社のキャッシングも貸金業法の対象となるため、年収の3分の1を超える借入れはできません。
どうして年収の1/3までなの?
だけど、もっともっとたくさん借りたい人もいますよね。「何で年収の3分の1までなの?」と思う人もいますよね。
実は、借り過ぎ・貸し過ぎを防ぐためには年収の3分の1までが適正融資となるのです。
年収の3分の1を超える融資を受けた場合は、自分の収入内での返済が厳しくなり、他社から借りて返済する自転車操業に陥ったり、債務整理につながったりする可能性が高くなります。
多重債務者の増加が深刻な社会問題となり、貸金業法の改正が行われたのです。
↓
収入内の返済が厳しくなる
↓
自転車操業や債務整理につながる
↓
自己破産
この流れは貸金業法が改正される前のデータから分かった傾向です。年収の1/3を超える借入れをした人は、返済困難に陥っている人が多く、自己破産等の債務整理を行っている人が多いのです。
そこで、借入れは「年収の1/3まで」となったのです。
銀行カードローンの過剰貸付が問題に!解決策に総量規制
消費者金融等の貸金業者では、年収の1/3までの貸付が厳守されているのに対して、銀行カードローンでは各銀行で融資額を自由に決定していました。
もちろん「自由」と言っても返済可能な金額での貸付となるので、年収を超える金額の貸付は行いませんよ。だいたい、年収の1/2~1/3程度まで融資が可能だと言われていました。
けれど、各銀行で自由に設定していたのでは総量規制の意味がありません。そこで、2017年に銀行の個人向け融資のカードローンに対して日本弁護士連合会が自主規制の要請を行いました。
多重債務を減らすための自主規制
総量規制によって、消費者金融での借入は適正融資となったのに、銀行カードローンは総量規制の対象外ということで、年収の1/3を超える貸し付けが可能でした。
これではせっかく規制をしていても、「消費者金融がダメなら銀行カードローンに申し込もう!」ということになり、総量規制の意味が無くなってしまいます。
そこで多重債務者を減らすためにも、銀行カードローンにも年収の1/3を超える貸し付けをしないように自主規制を求めたのです。
- 消費者金融:法的に年収の1/3まで
- 銀行カードローン:自主規制で年収の1/3まで
繰り返しになりますが、返済能力が十分であるとされる年収の1/3までの貸付が、借り過ぎ・貸し過ぎの心配のない適正融資なのです。
総量規制には「除外」「例外」もある
銀行のローンが年収の1/3までしか借りられなかったら、高額な買い物ができない…と思う人もいますよね。
総量規制は、カードローンが対象となります。そのため、車のローンや住宅ローン・教育ローン等の目的ローンは総量規制の除外となりますよ。
総量規制の除外
総量規制の除外とは、総量規制の対象とならない貸付です。
- 住宅ローン
- マイカーローン
- 高額療養費の貸付け
住宅ローンやマイカーローンの残高が残っていても、総量規制の貸付残高には含まれません。
総量規制の例外
総量規制の例外は除外とは異なります。総量規制の例外では、貸付残高に含みます。
ただし例外的に年収の1/3を超えている場合でも、返済能力があると判断されると貸付けしてもらえるのです。
総量規制 | 貸付残高 | 内容 |
---|---|---|
除外 | 含まない | 除外に該当する貸付があっても、年収の1/3まで借入可能 |
例外 | 含む | 例外的に年収の1/3を超えても返済能力があれば借入可能 |
例えば、年収300万円の人が既に100万円借りている場合に、緊急に医療費としてあと30万円借りたいという申し出が合った時には、返済能力次第では借入可能なのです。
- 緊急の医療費の貸付け
- 社会通念上緊急に必要と認められる費用を支払うための資金の貸付け
- 配偶者と併せた年収の3分の1以下の貸付け
- 個人事業者に対する貸付け
- つなぎ資金に係る貸付け
銀行カードローンは自主規制によって総量規制の導入
ここまで見てきて、消費者金融・銀行に関わらずカードローンには総量規制が関係することが分かりましたね。
けれど「おまとめローン」や「フリーローン」では、総量規制を超える貸し付けができるのです。
そもそも銀行カードローンが自主規制によって総量規制を導入することになったのは、借り過ぎ防止のためですね。
多重債務者を減らし、健全なカードローン利用へと導くことが目的なので、おまとめローンでも返済専用となります。
おまとめローンとは
おまとめローンとは、複数から借入れしている借金を1社にまとめて借り換えることですね。
1社にまとめることで、金利を低くしたり、毎月の返済額を少なくしたりといったメリットがあります。
- 金利が低くなる
- 支払利息が減る
- 毎月の返済金額も少なくなる
- 返済日が月に1回となり管理がラクになる
ただし、金利が低くならなければおまとめローンを利用するメリットが少なくなるため、できるだけ低金利で借り換える必要がありますよ。
金利はあまり低くならないのに、毎月の返済金額が減ってしまうと、毎月の負担は減りますが、返済総額は逆に増えてしまいます。そのため「おまとめローン」を利用する時は、金利をしっかりチェックしましょう。
おまとめローンは、「顧客に一方的に有利な借換え」となるため、メリットをしっかり生かして利用するのが得策です。
年収の1/3以上借りたい!
既に総量規制の上限まで借入れしてしまっていて、総量規制の対象外のカードローンで年収の1/3以上借りたいという方もいますよね。
けれど、ここまで見て分かった通り年収の1/3以上の借入れはできません。そして年収の1/3までの借入れが健全な借入額となっているので、新たな借入先を探すのは賢明ではありません。
おまとめローンでは、新たな借入はできない等のきまりがあるところもあります。しっかり債務を減らしてから新たに融資を受けるという方法が多重債務に陥る心配もなく安心ですね。