カードローン金利の話。利息制限法とはどんな法律か知っておこう
カードローンにおいて、金利の話は重要な問題です。金利によって返済額が大きく変わってしまうので、なるべく金利が低い方がいいのは確かです。
とはいえ、そうそう低い金利での借り入れは難しく、理由や状況によっては高い金利でお金を借りなければいけないこともあります。
ただ、やはりあまりに高いと返済ができなくなり、昔はそれが社会問題にまでなったことがあります。また、酷い場合には、違法業者に法外な金利で取り立てられることもあります。
カードローンには、利息制限法と言って法律で上限金利が決まっているのですが、知らない人も多くいます。これは知っておくべきカードローンの基本とも言えます。
カードローンの返済は金利上限が20%まで?利息制限法について
カードローンでは、どこも広告等で金利の表記がされていますが、よくよく見比べてみると似たような金利になっているのは知っているでしょうか。
消費者金融・銀行(ブランド) | 金利(年率) |
---|---|
アコム | 3.0~18.0% |
プロミス | 4.5~17.8% |
レイクALSA | 4.5~18.0% |
アイフル | 3.0~18.0% |
ノーローン | 4.9~18.0% |
楽天銀行 (スーパーローン) |
1.9~14.5% |
三井住友銀行 | 4.0~14.5% |
みずほ銀行 | 2.0~14.0% |
イオン銀行 | 3.0~13.8% |
それぞれの金利には幅がありますが、基本的に初めての場合は、高い方の金利になるので上限金利の方で見比べるようにします。
そこからわかることは、おおよそですが消費者金融の場合は、18%程度、銀行では14%前後と、消費者金融と銀行では若干の違いがあるものの、消費者金融同士、銀行同士で似たような状況になっています。
利息制限法を超えたら無効!だからこそ上限金利が18%程度になる
このように上限金利がある程度揃っているのは、実は「利息制限法」と言って、あまりに高い金利によって借りる側が不利にならないよう、お金の貸借の際に掛かる利息がこのような金利の上限までに決まっているからです。(利息制限法第1条)
借入残高(元金) | 上限金利(年利) |
---|---|
10万円未満 | 20%まで |
10万円超~100万円未満 | 18%まで |
100万円超 | 15%まで |
細かく言えば他にも理由はあるのですが、消費者金融で多くは上限金利が18%となっているのは、10万円までの縛りよりも100万円までの融資の状況を考慮しているのが、数字でわかると思います。また、銀行の場合は、14%程度は100万円超えの15%を意識していると言えそうです。
利息制限法という法律で決まっているからこそ、多くのカードローンはそれに沿った金利を設定しているのがわかります。
この金利を超えた場合は、無効になります。その為、違法業者ならば兎も角、通常カードローンはこの金利を超えないようになっています。
意外に忘れやすい!遅延損害金も利息制限法を超えない金利に
実は返済が滞った時には、金利が少し変わってきます。各カードローンでも主に遅延損害金という名称で商品概要に記載されているものです。
返済が滞った場合に請求できる賠償金。延滞利息や遅延金などの表記もあります。これもまた必要以上に高額にならないよう、法律で上限が決められています。
遅延損害金も利息制限法(第4条)に「債務の不履行による賠償額」と記載されていて、上限金利が決まっています。
それによるとカードローンでの遅延損害金は、上記にあった金利(15~20%)の1.46倍を超えてはいけないことになっています。(これ以上の超過分は無効となります。)これを計算するとこのようになります。
借入残高(元金) | 遅延損害金(年利) |
---|---|
10万円未満 | 29.2%まで |
10万円超~100万円未満 | 26.28%まで |
100万円超 | 21.9%まで |
遅延損害金のつけ方ですが、カードローンによって、借入残高に直接遅延損害金(金利)を掛ける計算方法、または、延滞している金額に遅延損害金(金利)を掛ける計算方法(この場合は、通常付く利息もプラスされる。)など、計算方法がいくつかあるのですが、多くのカードローンは、この形で計算されているようです。
※金利は基本的に年率になっている為、一旦日割り計算されてから掛かる日数で金額を出しています。
上限が20%と決まっているはいえ普段の金利ことを思えば、負担は大きくなります。
同じ法律でこの差はどうして?利息制限法と出資法の違いについて
カードローンなどのお金の貸し付けに関する金利は利息制限法で上限が決まっていると説明はしましたが、実はもう一つ、出資法という法律でも上限金利が決まっています。
出資法の正式名称は、「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」となっており、貸金業者での上限金利がこのように決まっています。(下記にて触れますが、個人での貸し借りの場合は、金利が変わってきます。)
借入残高(元金) | 上限金利(年利) |
---|---|
金額の上限なし | 20%まで |
同じ金利の話でどうして利息制限法と出資法と2つの法律があるのか、不思議に思う人は多いと思います。
利息制限法は民法!出資法は刑法!違いも大切だが問題は20%ライン
その為、利息制限法を違反した場合は無効になり、また行政処分がある、とよくあちこちの情報サイトで説明があります。
出資法にあたる20%以上の金利になっていた場合、5年以下の懲役、もしくは1,000万円以下の罰金、または併科(両方あわせる)となる罰則がつく(第5条)ことになるのは、刑法だからです。
民法だから違反してもいいわけではありません。(無効になったら意味はありませんし)ただ、やはり刑罰があるのは大きく、ポイントとしては20%という数字を目安として考えると覚えやすいかと思います。
今も話題の過払い金は出資金と利息制限法の金利差から発生している
この利息制限法と出資法をよく見ると、金利に若干の差があります。今は、特に正規の貸金業者は利息制限法を守っているので問題ないでしょうが、2010年に貸金業法の完全施行と同時に改正されるまで、出資法では29.2%と今よりもかなり高い上限金利になっていました。
利息制限法の15~20%とその29.2%の間をグレーゾーン金利と言い、多くの貸金業者が刑罰対象にならない29.2%以下の金利にしていました。しかし、金利が高い為に返済ができない多くの多重債務者が発生し、社会問題にまで発展しました。
今は、このグレーゾーン金利は違法と判断され、その時の返済で支払ったお金は借主への返還対象にしています。よく言う「過払い金」はこのことです。
完済から10年という時効はあるものの、該当する人は、過払い金が発生しお金が戻って来る可能性があるので、専門家に相談するといいでしょう。
違法業者は20%を超えている?金利を見て闇金を見分ける力をつける
利息制限法と出資法により上限金利がある為、多くの貸金業者は遅延損害金を含めて、20%を超える金利を設定していません。
しかし、やはりどこにでも法律を守らない人はいます。ここでは、いわゆる闇金がそれにあたります。当然20%を超えた金利で返済を求めてきますが、多くは金利がわからないような説明で借主にお金を貸しています。よく言うトイチは、年利に表記しなおすと365%になります。
金利表記されていないこと自体が違法になります(貸金業法第14条)ので、金利がわからないようなところからはお金を借りないようにしましょう。
また、高い金利は違法になるので、今まで説明した金利を覚えておき、高い金利のところからも絶対にお金を借りないようにしましょう。
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個人間でも上限金利は同じ!個人でも複数人に貸せば違法業者になる
友人や知人でのお金の貸し借りをすることもあるかもしれませんが、この場合も法律で上限が決まっています。
貸金業者でない場合は、出資法では上限金利が先にあった20%ではなく、109.5%(閏年の場合は、109.8%)を超えてはいけないことになっています。(先のトイチは友人間でも違法になります。)
ただし、利息制限法においては個人の貸し借りでも、上記にあった15~20%の金利が適用され、これを超える場合は無効になります。
ただ、出資法にある109.5%を超える時は、無効の問題だけでなく、5年以下の懲役、もしくは1,000万円以下の罰金、または、併科(2つをあわせわた)の罰則がつく(出資法第5条)ことになります。
となると、個人間でも下手に高い金利で返済を迫ると大変なことになります。
しかも、109.5%を超える金利を貸金業者が行っていたならば、罰則が10年以下の懲役、もしくは3,000万円以下の罰金、または併科になり罰則が重くなります。
個人で貸し借りをやっているからだから大丈夫だと思っても、これを複数の人間に行っていた場合、業者としてみなされてしまう、しかも貸金業の許可のない違法業者とされてしまう可能性があります。
もちろん知り合いにお金を貸してはいけないと言う訳ではないのですが、ただ金利は法律できちんと上限が決まっているので、(金利の問題だけではないのですが)その点を踏まえて節度あるやりとりをするように気をつける必要があります。
カードローンを借りるには知識として利息制限法を知っておくのがいい
カードローンでお金を借りる時は大抵の場合、急いでいることが多く、その時のカードローンの金利は見ても、それが法律に沿っているのかどうかまでは確認しないでしょう。
もちろん、大手消費者金融や銀行が違法金利で貸し出しをしていることはないのですが、必ずしも大手から借りられるとは限りません。中には「ここは大丈夫なのかな。」と心配になるような地方の消費者金融を見つけることもあるかもしれません。
また、友人同士だからと言って法外に高い金利でのやりとりが許されるわけでもありません。
利息制限法は、カードローンの金利として重要で基本的な内容です。ある程度の知識を持っているのと持っていないのとでは、大きく違うと言えます。