カードローンの返済方式に多い残高スライド方式は返済しやすいのか?
カードローンの月々の返済額は採用される返済方式によって決まります。
最近多いのは残高スライド方式と呼ばれるもので、借入額の残高を段階的に区切ってその段階内で利息と元金の返済額が一定になるようになっています。
カードローンは収入が安定している会社員をモデルにして設計されているため残高スライド方式は月々借入れが大きく増えない限り、返済額が一定なります。
このため、先々の見通しがよく会社員には返済しやすい方式になっています。
カードローンの中には、残高スライド方式以外の方式も用意されている場合があり、自分の収入に合わせて、返済しやすい方式を選べるようになっている場合もあるので、よく考えてカードローンを選びましょう。
カードローンの月々の返済額を決める残高スライド方式とは?
カードローンは借りたお金を通常月々分割して返済していきますが、この月々返済するお金の金額を決めているのが、返済方式と呼ばれるもので、残高スライド方式もこの返済方式の1つということになります。
この残高スライド方式というのは借入れしたお金の残高を何段階かに区切って、それぞれの段階内では利息と元金の返済分の合計が月々一定額になるようになっている返済方式で残高が増えれば返済額も増えます。
ただし残高スライド方式と言っても、いつの時点の残高で返済額を決めるのかは違っている場合があるので、カードローンを利用する時には、予めそういった点についても確認しておくようにしましょう。
残高スライド方式はカードローンの返済方式の1つ
カードローンはその名の通りローンですから、借りたものは返さなければなりません。
例えば10万円借りたとしたら、翌月以降10万円プラス利息を支払わなければなりません。
翌月に10万円を全額返済するという方法も有りますが、通常はそんなことはできませんから、何らかの形で月々分割して返済していくことになります。
どのように分割して、月々いくら返済するかを決めているのが返済方式と呼ばれるもので、ここで説明することになる残高スライド方式もその一つです。
残高スライド方式は段階的に返済額が変わっていく方式
残高スライド方式というのは正式には残高スライドリボルビング返済方式などと呼ばれますが、長いので残高スライド方式とします。
残高スライド方式というのは借入残高を何段階か区切ってその各段階ごとに月々の返済額が決まっており、段階が変わらなければ、返済額は月々一定に保たれることになります。
例えばメガバンクのM銀行のカードローンの場合、次のように借入残高と月々の返済額が決まっています。
借入残高 | 返済額 |
---|---|
10万円以下 | 2000円 |
10万円超20万円以下 | 4000円 |
20万円超30万円以下 | 6000円 |
30万円超40万円以下 | 8000円 |
40万円超50万円以下 | 1万円 |
50万円超 | 借入残高が10万円増えるごとに2000円追加 |
ただし、この場合返済額は最低返済額となっているので、これ以上の金額ならいくらでも良いということになっています。
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残高スライド方式もいくつかあるので予め確認要
注意が必要なのは、残高スライド方式にもいくつかあるということです。
例えば残高の基準になる日が返済日の前月末であったり、前月の15日とかだったり、カードローンそれぞれで違いが有ります。
また単純に残高スライド方式という場合には、返済していくと残高が減っていくので新たな借り入れをしない限り返済額は段階的に減っていくことになります。
これに対して借入後残高スライド方式と言った場合には、直近の借入後の残高が基準になり、次の借入れを行うまでは、残高が減ったとしても返済額が減ることが有りません。
カードローンを調べる場合には、返済方式もよく調べて、返済額がどうなるのか正確に理解しておくようにしましょう。
借りたら利息を支払うことになりますが、借り手の中にはこれが理不尽だと考える人もいます。
しかし金融取引では金融機関はこの利息によって利益を生み出しているのです。金融機関も営利を目的にする企業ですから、利益を追求するのが当たり前で、利息は大変重視されます。
最近のカードローンでは残高スライド方式の採用例が多い!
以前は消費者金融を中心に返済方式はリボルビング払いと言う返済方式を採用しているというのが普通でした。このリボルビング返済方式は借入残高に関係なく月々利息分と元金返済分が一定になる方式です。
しかしこのリボルビング返済方式と言うのは、その方式上の特性から、借入額が多くなってくると、利息分の割合が大きくなって元金の返済がなかなか進まず利息分が増えるという欠点がありました。
ただし月々返済額が一定というのは利用者には大変返済しやすい方式だったため、この方式を改良したのが、ここで説明している残高スライド方式というものです。
以前はリボルビング返済方式のほうが多かった
先程説明したように残高スライド方式というのは正式には残高スライドリボルビング返済方式と言います。ここで気が付いた人もいると思いますが、単にリボルビング返済方式というものも有ります。
このリボルビング返済方式というのは残高によってスライドされない訳ですから、いくら借りても月々の利息分と元金の返済分の合計が一定になる方式を言います。
そして以前は消費者金融を中心にこのリボルビング返済方式を採用しているところが多かったのです。
この返済方式ではいつまでも同じ返済額になるので、返済する方も返済の見通しがつけやすく歓迎されていました。
リボルビング返済方式には欠点がある
このリボルビング返済方式は利用者だけではなく金融機関にも歓迎されていた返済方式でした。しかしそれは返済額が安定していたからではありません。
実はこのリボルビング返済方式は利息が他の方式よりも増える方式で利益が大きくなるのです。裏返せば利用者のほうは損失が大きくなるということです。
このカラクリは返済額が月々一定になるという仕掛けにあります。
借り入れ額が高額になると当然ですが利息も増えます。しかし月々の返済額は一定ですから、利息が大きくなる分元金の返済額は少なくなります。
場合によっては返済額の殆どが利息になり、元金は殆ど減らないことすらあります。
こうなってしまうと翌月も元金はほとんど減っていませんから、また同じように高額の利息がかかってしまうためこの悪循環が続き、払っても払っても元本が減らないという状況に陥ってしまう訳です。
リボルビング方式の欠点を少なくしたのが残高スライド方式
最近ではリボルビング返済方式のこういった問題点が利用者側にも知られてきてしまったため、残高スライド方式に徐々に変わることになったわけです。
もちろん、残高スライド方式でも同じ段階内では返済額が一定になるのでリボルビング返済方式と同じように利息が増える可能性はあります。
しかし借り入れが高額になると、次の段階に移るため元金の返済分が取れなくなるようなことは無くなるため、損失が大きくなるような事はありません。
ただし、借り過ぎると返済額が高額化するのでその点には注意しなければなりません。
残高スライド方式では借り入れが増えると返済額が高額化しますが、もし返済できなくなった場合、最近では一時的に金融機関への連絡により返済額を減額してくれると明記しているところも出てきました。
カードローンを利用する際にはそういった記述があるかどうかも一応調べておきましょう。
残高スライド方式は返済しやすいのか?収入が安定していることが前提
お金を借りる場合利用者が最も気にすべきは返済できるかどうかという点ですが、この残高スライド方式は返済しやすいのでしょうか。
残高スライド方式というのは、返済途中で新たな借り入れを行って借入残高が増えない限り、月々の返済額が増えるようなことは有りません。
そういった点で月々安定した収入が見込める会社員の場合には返済計画が立てやすく、大変返済しやすい方式だと言えるでしょう。
しかし例えば自営業者のように、会社員程収入の安定性が無く、時には収入が大きく減ってしまう可能性がある職種の場合には、返済額が変えられない分、返済が苦しくなり、返済しにくい場合もあるでしょう。
カードローンは収入の安定してた会社員の利用を前提に設計されている
カードローンに限った話ではありませんが、ローンというのは月々返済していくというのが普通です。これは月々月給という形で、収入が発生する人が多いためです。
ローンを利用する人の割合から考えれば、やはり会社員が多いため、こういった形にして、返済しやすいように考えられているわけです。
特に、会社員の場合には、自営業者などに比べれば、非常に収入が安定しているため、返済額が一定額になっていれば、大変返済しやすい訳です。
そこで多くのカードローンでは残高スライド方式を採用して返済できなくなるようなことが無いように考えられています。
会社員の場合残高スライド方式は返済計画が立てやすい
会社員のほうから考えても、月々返済額が変わらなければ、給料が安定しているわけですから、そこから一定額の支出が有るという前提で、生活を設計することができます。
ローンを利用する場合、カードローンなどではあまり行っている人はいないのですが、本来は返済計画というものを立てます。もちろん返済額が少なければ、それ程詳細な計画は必要ありません。
ただ例えば返済できなくなった時に、どういった対策を取ればよいのかということは予め考えておいた方が、いざという時に慌てなくて済みます。
そこで返済額が安定していれば、返済にいくら必要になるのかあらかじめわかっているので、お金が足りなくなった時は、どういった支出を止めれば返済できるのかということを最初に検討しておけます。
このように残高スライド方式というのは、金融機関の思惑通り返済計画が立てやすく、その分返済ができなくなるというようなことが減ることにもつながる訳です。
収入が安定していない人には要注意な方式
ただし、これは収入が安定している会社員のような人の場合の話です。もし収入が安定していない人が借入れした場合は、返済には注意が必要です。
例えば自営業者などの場合、会社員程安定した収入というのは望めませんから、場合によっては返済額を捻出するのが難しくなることもないとは言えません。
こういった職種の場合、学生ローンなどで採用されている元金自由返済方式というような、元本の返済分はいつでも構わないというような方式のほうが返済しやすいと思われます。
残高スライド方式は借り入れを増やさなければ、返済額も増えず返済しやすいものですが、借り過ぎてしまうと返済額は増えていくので家計を圧迫する原因になる為十分注意してください。
返済方式がいくつか用意されているカードローンもある!
カードローンの中には返済方式がここで説明している残高スライド方式だけではなく、先ほど説明したリボルビング払いも含めていくつか用意されていて、その中から自分で選ぶことができる場合もあります。
そういう場合には、自分の返済能力と言うものをよく把握しておき、返済していくことが可能な方式の内、もっともお得な方式を選ぶとよいでしょう。お得でも返済ができなければ話になりません。
もしどの方式を利用しても自分には返済ができる見通しが立たないという場合には、借入れ自体を見直して、何か別の方法を考えることも必要です。無理に借入れして返済できなければ最悪自己破産なのです。
複数の返済方式から利用者が選べる場合がある
カードローンの中にはいくつか返済方式が用意されていて、その中から利用者が選べるようになっている場合も有ります。
多くのカードローンの場合、ここで説明している残高スライド方式だけかあるいはこれに加えて翌月一括払いという方式の2つだけというのが普通ですが、それ以外にも次のような方式が選べる場合も有ります。
返済方式 | 解説 |
---|---|
リボルビング返済方式 | これについては先ほども説明しましたが、現在でもこの方式が選べるようになっている消費者金融が有ります。 |
元利均等払い方式 | この方式は返済回数(返済期間)を選んでその間利息と元金の合計を均等に割り振る方式で、やはり返済額は一定になります。ただし、返済回数は上限が有るので注意が必要です。 |
元金均等払い方式 | この方式は返済回数(返済期間)を選んでその間元金を均等に割り振る方式で、返済額はこれに利息分を加えた金額になるため、元金が減るにしたがって利息も減るため、徐々に返済額は少なくなっていきます。
ただし、この方式はカードローンには採用例はなく、消費者金融のキャッシングローンの中には選べる場合があります。 |
自分の返済能力を把握して最適な返済方式を選ぼう
返済方式は月々いくら返済することになるのかが決まる重要なものです。
このためどれを選ぶかによって返済できるかどうかを左右する可能性も無いとは言えないので、選ぶことができるのであれば、よく検討して選ばなければなりません。
そのためには自分の返済能力を的確に把握する必要があります。そこで過去1年程度遡って月々の収入額と支出額を調べてみましょう。
収入と支出が分ったら、収入から支出を差し引いて収支を計算してみましょう。
この返済能力が分ったらこの金額の中で返済できる方式を選べば良い訳です。
返済できそうにない時は借入れ自体を見直すことも必要
もし、返済能力がどの方式の返済額よりも少なかった場合には、返済は難しいということです。
ですから、こういった状態で借入れしてしまうと、返済途中で返済に行き詰ってしまう可能性も出てくることになるでしょう。
したがって、そういった状況に追い詰められないように、この場合には借入れ自体を見直して、先延ばしするか、断念しなければなりません。
もし無理に借入れして返済に窮してしまうと、苦肉の策で、別の業者から借入れしてしまう人もいます。
しかし、そういったことをするとさらに窮地に追い込まれ、多重債務者になってしまうこともあるのです。
もしローンの返済ができなくなった場合、業者のほうも回収担当が出てくることになるので、最終的には弁護士を立てて債務整理を行うしかなくなります。
債務整理では最悪の場合には自己破産ということもあるので、無謀な借り入れはしない様にしましょう。
ここでカードローンの残高スライド方式という返済方式について纏めていおきます。
- 残高スライド方式は借り入れを増やさなければ返済額が増えることが無い
- 最近のカードローンでは残高スライド方式を採用している場合が多い
- 残高スライド方式は収入の安定している会社員には返済しやすい
- 返済方式がいくつか提供され選べるようになっているカードローンも有る
返済しやすいのは良いことですが、そもそも借りなければ返済しなくてよい訳ですから、借り入れを考えたらまずは借りなくて済ませられないかに知恵を絞りましょう。